恋の神様はどこにいる?

「家で待ってろって言ったよな? どこに行くつもりだった?」

「スーパー」

「はあ!? なんでスーパー行くんだよ?」

「それは……。もう夕飯の時間だし、もしかして志貴お腹空かしてくるんじゃないかと思って」

「なに、なんか作ろうって思ったとか?」

「あぁ、ごめん。作れないから、すぐ食べれるモノ買ってこようかと」

あはは……なんて、作り笑いしてみせたけど。

普通の女の子ならここで『パスタでも作ろうかと思って。うふっ』なんて、可愛らしく愛嬌をふりまくのかもしれないけれど。生憎、私はそんなスキル持ち合わせてなくて。

インスタントラーメンやお茶漬け出すくらいなら、スーパーのお惣菜を買ってきたほうがマシだと思ったわけで。

「俺から逃げようと思ったんじゃないんだな?」

「なにそれ? そんなこと、これっぽっちも考えてないんだけど」

そう言って右手親指と人差し指を、志貴の顔の前にスーッと差し出した。

「……っとに馬鹿かお前は。マジで焦るだろ」

「なんで志貴が焦るの?」

「気にするな。こっちの話だ」

だから、そんなこと言われたら気になるに決まってるでしょ!! いつも肝心なところを話してくれないから、こっちはモヤモヤしたものが残ってしまう。

でも志貴は何もなかったような顔をして私の前に立ち、顔を覗きこんできた。


< 98 / 254 >

この作品をシェア

pagetop