愛情の鎖

その日の夜、私はずっと気分が上がらないままだった。

部屋を掃除して、ご飯を作ってテレビみて。何も考えないように風呂にゆっくり沈んでいても、気付くと屋上の方へと意識が向いてしまう。


大丈夫かなって。

ちゃんとご飯食べたのかなって。

気付けばコウさんの体調のことばかりを考えてしまう私がいて。

ついさっき届いた宗一郎さんからのメール。


『今日も帰れない。また連絡する』


その文章の画面を見つめながら、ホッと肩の力が下りたのはいいのだけど、すぐに頭によぎったのはやっぱりさっきのコウさんの様子。

酷くなって死んでなきゃいいけど…

あれから5時間ぐらい?今頃彼はきっと寝てるよね?それとも苦しんでる?

モヤモヤしながら左手にはいつの間にか携帯電話を持っていて、以前メモ書きで渡されたコウさんの携帯番号を画面の中に登録していた。

あの日気まぐれに渡された番号は結局何もしないまま。
手帳に挟んだままただ持っているだけだった。

だって特に連絡することもなかったし、電話なんてしなくたって夜になれば屋上でいつだってコウさんに会えたから…


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