愛情の鎖
だけど今はちょっと緊急事態?
もしかしたら本当に熱で苦しんでるかもしれない。そう思ったらやっぱりコウさんの安否が無性に気になってしょうがなかった。
ダメだ、もういい。こうなったらうだうだ考えるのはやめよう。
どうやっても心配なのは心配だもん。
正直、何でこんなに彼のことが気になるのか分からなかった。
けれど、やっばり大事なお隣さんを無下にはできない。
よーく考えればコウさんには色々とお世話になってるもんね。
都合のいいことに宗一郎さんは今日も帰って来ない。必要以上にビクビクしなくたっていいのかもしれない。
「よし!」
気合いを入れ、登録したばかりの番号を指先でタップする。
ちゃんと寝てればオッケー。
もし、一人で辛そうならおかゆの一つでも作って持って行こう。
そう思いながらちょっぴり緊張。ドキドキと数秒間携帯電話を耳に当てていると
「はい」
プツリ、静かな部屋にコール音が途切れ、すぐに愛想のない低い声が鼓膜いっぱいに広がった。