愛情の鎖
これじゃあ、治るものも治らない。
「もういいから部屋に戻って、これ以上熱が上がらない前にさっさとベッドの中に入る!」
私はコウさんの腕を持ち上げ、強制的によいしょっと立ち上がらせる。
怪訝そうに顔をひそめられたけど、そんなの無視して自分の行動を貫いた。
「たかが風邪ぐらいって思ったら後で大変なことになるんだから」
「大袈裟だろ」
「甘いよ。そういう考えだからおじさんはダメなの!」
ギロリ、真剣に睨みながらコウさんの部屋の入口の方へ引っ張っていく。
例え抵抗されたって離さないもん。
ベンチから部屋に続く扉に着くまで、コウさんにまた嫌味の一つぐらいは何か言われるのかと思ったけれど、やっぱり体調が悪いせい?
結局呆れ気味の表情を向けられるだけで、それからは特に何も言われなかった。
「コウさんってお粥食べられる?」
「……お粥?」
「今から作ろうかと思って、やっぱり少しは食べないと元気になるもんもなれないと思うし」
「へ〜作ってくれんの?」
「まぁ、いつもお世話になってるし?」
それぐらいは、ね。