愛情の鎖

そっか。そうなんだ。

そう思った瞬間妙にしっくりときて肩の力が抜けた。

私のこのお節介な行動もそこからきてるんだと思うとピンときて頷ける。


「ね、コウさん。私達いい友達になれると思わない?」


ニコリと笑った私に当たり前だけど無言の視線が飛んでくる。

何言ってるんだこいつ。と言う眼差しをはっきり感じたけれど私は気にしない。むしろ満面な笑みでそんな無言を突き返してやった。


「私ね、昔から何でも話せるお兄ちゃんが欲しかったの。自分には年の離れた妹しかいないし、何て言うか頼れる存在がいたら嬉しいっていうか…」

「だから何だ」

「ほら、ちょうどコウさんが適役かも?偶然隣の住人ってのも何かの縁だし、そもそもお互い言いたいこと言いあえるから変な気を使わなくてもいいし。あっ、もちろん口の悪い所は多少目を瞑ってあげるし、多目に見てあげるから」


若干年が離れすぎてる気がするけど、それもまぁ、いいんじゃない?

だって一緒にいてこんなに楽な相手はそうそう巡り会えないし、ここまでズバズバ言える人は滅多にいないと思うから。


「ね、いいでしょ?」

「アホか」

「えーダメなの?」

「お前、浮気旦那の捌け口役に俺を利用しようとしてないか?」

「まさか!私がそんなことしようとするように見える?」


見えるから言ってんだけど?的な眼差しを向けられてたまらずふて腐れ気味な顔になりそうになる。

まぁ、確かにこのつまらない日常を少しでも楽しめたら嬉しいな、と思うのは正直な本音だけど…

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