愛情の鎖
「ごちそうさん」
「どういたしまして」
コウさんが食べ終わるのを見届けると、私は食器の片付けに手を動かす。
私とコウさん。こんな風に室内で顔を合わせあうのは何だか不思議な展開だけれど、異様に馴染む。
むしろ馴染みすぎて怖いぐらいだ。
「何かいいね、こういうの」
「は?」
「私、コウさんといい友達になれそうな気がする」
そこまで言ってふと気がついた。
そうか。私はコウさんと友達になりたいんだ。
宗一郎さんと結婚して3年。その間仲の良かった友達ともみんな疎遠になってしまった。
でもその方がいいと思った。
宗一郎さんと一緒になるってことは少なからずとも危険を伴うことだもん。
幼なじみの慎ちゃんみたいな過ちはもう起こってほしくない。
だけど本心は寂しかった。
ずっと誰かと話したかった。
だからこそコウさんの存在は貴重なんだ。
たとえマンションのお隣さんという曖昧な関係でも、コウさんとの何でも言い合える時間はとても楽しいものだったんだ。