愛情の鎖
「ぷはーー。やっぱお風呂の後のビールは最高!」
ゴクゴクと炭酸の苦味を味わった私は満面の笑みを浮かべる。
「1日の終わりはこれでなくっちゃ」
こうでもしなきゃやってらんない。
息が詰まる。私は専業主婦。
一日中監視された状況の中、正直ストレスがたまらないはずがない。
だって…、部屋中いたる所に付けられた監視カメラ。
そして携帯に備えられたGPS機能。
今更私が逃げ出すとでも思ってるのだろうか?
はたまたこういうやり方が宗一郎さんの愛し方なのか?
彼の愛は歪んでる。
ひどく屈折した愛情の中、決して1人で行動することは許されない。
それでも唯一私の実家、つまりは両親の元には時々帰らせてもらってるけど、それも宗一郎さんが雇った運転手付きの監視の元での話。
外出する時は誰かしら付き添いが1人付くし、彼の眼の届く範囲にいないといけない。
まるで隙のない世界なのだ。