愛情の鎖
だからといって、そんなことコウさんに言ったところで信じてくれるか分からない。
彼からしたら私がこの場で何を言ったって、曖昧な誤魔化しにしか聞こえないような気がして…
「…あの、ごめんなさい……」
シュンとしながらそう言った。
コウさんが今どんな思いでいるかは分からないが、今の私には弁解することすら不利な立場なんだと思い知る。
「…私………」
思わず起き上がって俯くと、再びコウさんの顔が近づき口付けが落ちてきた。
今度は優しく、触れ合わせるだけのキスをすると、私の顎を指先でグイッと持ち上げる。
「梨央、あの男には気を付けろ」
「……えっ」
「もし、万が一命の危険を感じたら迷わずここに逃げて来い。分かったな」
それってどういう……
真剣な瞳に吸い込まれそうになりながら、私は疑問をぶつけるように大きな瞬きをする。
「もし、その時は……」
「えっ」
「俺が捕まえてやる。もし、あの男がお前に危害を加えるようなことがあれば、その時は容赦はしない。この手であいつを薄暗い監獄にぶち込んでやるよ」