愛情の鎖

私は瞬きもせず、コウさんを見た。

そんな私をコウさんはやっぱりクールな素振りでうっすらと笑う。


「それが俺の仕事だ」

「……えっ……」

「言っとくが手加減はしねー。だからお前も覚悟ぐらいしとくんだな」





『俺に捕まる覚悟を』



そう言って立ち上がった彼を、初めて少しだけ怖いと思った。

ううん、眩しすぎるオーラを前にして、どんな反応をしていいのか分からなかった。



………て、つまり、その。

コウさんの職業はつまり、



「日本の平和を守るサラリーマン?」



て、こと?

私なりに解釈してそう呟けば、コウさんは「なんだそのだせぇネーミングは」と、またしても呆れたデコピンをかましてきた。

アホかというように目を細める表情は、私の体の中心を大きくかき乱すのには十分なヨウ素だったわけで…

< 196 / 491 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop