愛情の鎖

神様は居なくても真面目に生きてればそれなりの幸せが待っているんだと。

お金なんかなくたって、家族4人毎日ずっと笑って暮らせていけるんだと。

あの時の私はバカがつくほど純粋無垢、汚れた世界なんて無縁の世界だと思っていた。




ーー……



「姐さん、着きやしたよ」

「……うん」


まどろんだ世界から現実に引き戻される。

翔太の顔が視界に写り、嫌でも私がいる此処がそんな清らかな世界じゃないことを把握する。



「……あの、今日も食材っスか?」

「まぁ、そうだけど……」

「なんか最近買う量が増えやしたね?つい2日前も買ってなかったすか?」

「………気のせいじゃない?」


私は素知らぬ顔をして車から降りた。

目の前に建つのは地元のスーパー。

少し不思議そうな顔をする翔太を無視して、さっさと私は入り口の方へと歩いてく。

変に感づかれちゃいけない。

あくまでも普通の態度で冷静に。

まさか隣の住人に毎日作る材料を調達してるなんて、一ミリも知られてはまずいから。

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