愛情の鎖

それからどのぐらいの時間が経ったのか、ふと意識を戻すとそこには見慣れた天井が見えた。

背中にはさっきと同様固い床の感触があり、此処が先程宗一郎さんに倒された場所と同じ所だとすぐに気付いた私はなんの動作を起こさないまま再びゆっくり瞼を閉じた。



「…っ……」


体が鉛のように重かった。

喉も焼けるようにカラカラだったけれど、それ以上にそれを潤す気力が湧いてこない。

私は暫くそこから動けずに、もう一度瞼を開けると、ただ虚ろなまま真っ直ぐに見上げた先の照明を一点に見つめていた。

そこにはさっきまで私の上に乗っていた人物はなく、辺りはシーンと静まり返っている。


今、何時なのか?

彼は何処に行ったのか?

そんな疑問が一瞬脳裏に浮かんだけど、それさえどうでもよかった。

微かに記憶の片隅にあるのは、宗一郎さんに襲われてる途中彼の携帯が激しくなったこと。

そして急に体が軽くなり、半分意識を無くしかけた時玄関の扉がバタンッと閉まった音だけ。

ふと、右手だけを胸元に添えた。

いいのか悪いのか衣服は胸元ははだけていたが、下の方は無事だった。


……けど、もうそれさえどうでもいいと思った。

自分がどんな状況でもいいとさえ思ったのだ。

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