愛情の鎖

「………別に気に入らなきゃ食わなくていい」

「ううん。食べます、いただきます！」


私はコウさんの睨みを無視して手を合わせた。

正直昨日からまったくお腹が空いてなかったけれど、これだけはちゃんと食べようと思った。

むしろこれなら食べられそうな気がした。

彼の気持ちが嬉しかったから。少しでもコウさんの優しさに触れていたかったから。

じゃないと今の私は少し肩を押されただけで、その場に簡単に崩れ落ちてしまいそう…


「あ、思ったより美味しい」

「しばくぞコラ」

「ふふっ」


またまた肩を揺らす。

久しぶりにホッとした時間だった。

私とコウさん。こうして此処で2人で顔を合わせながら食事をするのはちょっぴり不思議な感じだけれど、少し救われた思いでもあった。


「ありがと、コウさん……」


私を連れ出してくれて。

助けに来てくれてありがとう…