愛情の鎖

それから少しして部屋のインターホンが鳴り響いた。


「姐さん俺です」

「今行く…」


モニターを切り、用意してあったバッグを肩にかけると私は玄関まで向かった。

外へ出て上質なエレベーターに乗り込むと今度は1階へと向かう。


「おはようございます。澤田様」


まるでホテルのロビーのようなエントランスの前を通ると、コンシェルジュの遠藤さんが挨拶をくれた。

彼はこのマンション専用の気品溢れるコンシェルジュ。


「おはよう。遠藤さん」


私がそう返すと彼はお馴染みの爽やかな笑顔をむけてくれる。

彼は仕事柄とても人当たりがいい。

だけど人を見かけで判断してはいけない。

彼は一見優しそうに見えて宗一郎さんと繋がりがある人。だからきっと優しいだけの人間じゃない。

多分裏の顔も備え持ってると思うから私は当たり障りなく彼との距離を置くように心がけている。


「行ってらっしゃいませ」

「行ってきます」


そんなやり取りを得て私はマンションの外へ。そこで待つある人物へと目を向けると今度は元気のいい声が飛んできた。



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