愛情の鎖
そんな微妙な空気の中、コウさんが「西田か」と舌打ちをした。
私は突然離された温もりに、コウさんへの名残惜しさが押し寄せる。
だけどコウさんは、そんな私をもう見ようともせず、鳴り続ける携帯電話の通話をさっと押した。
彼の横顔が心なしかイラついて見える。
そして私の感情はというと、複雑な寂しさを抱えたまま、どうすることもできなくて、
「ああ、分かった。もう準備はできてる」
そう一言告げて切った彼は再びこっちへと振り返った。
「西田だ。車の支度ができたらしい。今マンションの下にいるって」
「あ、はい……」
ぎこちなく答えた私にコウさんがゆっくり近づいてくる。そしてあからさまに顔を沈めた私の前にもう一度立ち、そっと唇に指を触れると、少し申し訳なさそうに眉を下げた。
「悪い、お前のせいじゃないからそんな顔するな。全部俺の理性の問題だ」
そんなことを言われるとは思わなかったから正直驚いた。
瞬きしながらそんなコウさんを思わずまじまじと見つめちゃったけれど、次に出てきた言葉は自分でもビックリするような言葉。
「私、コウさんに触れられるの好き、ですよ?」
少し照れながらも正直に言った。
むしろ途中から夢中になってたし、コウさんの触れ方は強引だったけれど、とても優しかったから…
宗一郎さんの時と比べるとまるで感度も気持ちよさも違う。