愛情の鎖


「ふふ、すごくあったかいです」

「当たり前だ。さっきから俺がそう言ってるだろ」

「うん、やっぱり猫になった気分」


そうやって、わざと甘えたようにコウさんの胸にすりすりしてみると、思いのほか気持ちも体も満たされていく。

宗一郎さんの時には味わえなかった安らぎと安心が此処にはあるんだと実感する瞬間だ。


「あの、コウさん」

「なんだ」

「一つ変なことを聞いてもいいですか?前からずっと聞いてみたかったことがあるんだけど」


そう言って、コウさんを見つめた。


「あの、コウさんはお金と愛情どっちが大事かなって」


そうなると、前から聞いてみたかったことをふと思い出した。こんなまったりとした空間だったら自然に聞けるかなと思ったから。
< 383 / 491 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop