愛情の鎖
「大丈夫か!?」
素早く駆け寄ったコウさんがそんな私を抱きかえる。
まるで憔悴しきったような私を心配した素振りで覗きこむ。
まったくと言っていいほど力が入らない。
大好きなコウさんの匂い。
やっと感じれたコウさんの温もり。
なのに私は彼に目も合わせず、コクンと頷くことさえできなくて。
「よく頑張ったな」
「……えっ?」
「この3年間よく頑張った。けどもう安心しろ。終わったんだ。お前は自由だよ」
「ーーーっー…」
そう言われ見開いた。
思わず顔を上げ、コウさんに視線を合わせると、そこにはさっきとは見違えるほど優しい表情をした彼がいて、ぎゅっと胸が押し潰される。
「もうお前の好きに生きていい。あの男に縛られることは2度とない」
その言葉と共に一気に溜め込んでいた感情が涌き出してくる。
今まで押さえてた不安や恐怖、そして怒り。その全ての感情が溢れたとき、やっと私はポツリと蚊の鳴くような声をあげた。