愛情の鎖

「色々ってなんだよ」

「なんつーか、あの晃一が惚れ込んだ女が一体どんな感じなのかって、この目でしっかり見ておきたかったつーか…」

「アホかよ。つまり梨央の根性がどれぐらいなのかじっくり試したかっただけだろ?」

「えっ!」

「…はは……」


それを聞いて驚かされたのは私の方だった。


「ひ、酷いです!本当ですか?」


だってあの修羅場の中、私はすぐ後ろで遠藤さんに違った意味で試されてたってこと!?
あの時顔一つ色変えず、冷静な素振りで私を見られてたと思うと、ゾッと背中に冷たいものがはしる。

「いや、でも誤解しないでほしいんだ。俺も澤田宗一郎の手前下手に動けなかったのは事実だし。
もちろん、梨央ちゃんに本当に命の危機を感じたらすぐに助けるつもりだったから」

「けっ、本当かよ」

「本当だって!つか晃一、仲間の俺が信用できないのかよ!」


バックミラー越しに目があって、遠藤さんが焦ったように狼狽えている。

その姿はやっぱり今まで見ていたコンシェルジュの遠藤さんのキャラとは違い、まるで別人に見える。
< 420 / 491 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop