愛情の鎖

脅かすって…

コウさんの指先がそっと私の唇をなぞる。

その瞬間背筋がゾクリと反応した。

すぐさま後頭部に彼の手が回り、これから起こりうることを想像してしまったから。


「今からもっとお望み通りにしてやるよ」

「………っ」


思った通り、彼の唇は温かかった。

私の唇を塞ぐ彼のキスは甘美。最初こそ軽いものだったけれど、
それは次第に深くなり、昼間の公園の時のキスとはまったく質が違うことを物語っている。

とても深みがあって甘い。

私の理性こそあっという間に破壊してしまいそうな、そんな彼の愛撫に私の瞳は熱く潤み、この先のことを嫌でも期待してしまう。



「ふっ、なんつー顔してんだよ。もっと充電してやろうか?」

「え……と、正直意外、です。コウさんってこんな公衆の面前でこういうことできるんですね」


「俺も意外だ」


乱れる呼吸の中、そう言って戸惑う私にコウさんのはコツンと額同士をくっつけた。

周りは暗くあまり目立たないけれど、此処は駐車場。

行き交う人も少ないけれど、いつ誰かお店に来るか分からないのは確かだっていう状況なのに、



「お前といると調子が狂う」



彼はそんなことを言う。

そのセリフが予想外で、私は不意に押し黙る。

だけども何気にそのセリフが可愛く思え、妙に嬉しくなった私は気付けば両手を伸ばし、コウさんの頬にそっと添えていた。
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