愛情の鎖

「だったらこのまま一緒に調子狂わせてみます?」


一緒に狂うのも悪くない。

私はまっすぐ見つめ、コウさんに熱い眼差しを向ける。

自分でも驚くほど、大胆なことを言ったのは百も承知。

もちろん酔っている。

だけどもこれが私の本音だった。

まるで本能からくる衝動に自分でも自分の抑えが効かない。
すでに崩壊のカウントダウンが始まっているのかもしれない。



「…コウ、さ……」

「だったらうちで飲み直そうか?」


「…えっ……」

「このまま俺の家に来る?」


コウさんもまた驚くほど熱い眼差しだった。

頬に添えた私の手を掴んだと思ったら、そのままその手を自分の唇に当ててくる。



「うちに来いよ」

「ーーー」


私は一瞬瞳を大きくし、言葉を詰まらせた。

目の前にはクラクラしそうなほどの色気たっぷりのお顔。

思わず心臓がドクンと跳ねる。

そんな顔で言われて断れる人なんているんだろうか?

いや断ることなんてできない。

むしろそうなりたいと思ったのは私の方だ。

私の方だから。
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