愛情の鎖
「…梨央……」
部屋に入るとすぐ、後ろからコウさんの腕に抱きすくめられた。
息つく間もなかった。
ましてや2週間ぶりの部屋を懐かしむ暇もなく、彼は私の首筋に顔を埋め、羽織っていたデニムジャケットをいとも簡単に脱ぎ落す。
バサリ…
それが落ちる音がすると同時にシュルリとうなじのあたりに飾られたブラウスのリボンがぼどかれる音がした。
思わず硬直すると、首筋に感じる刺激が止まり彼が柔く声を向ける。
「もっと力抜けよ」
そう言われても、そうなれないのが悲しいもので、指摘されればされるほど今までにない緊張が押し寄せる。
……すると、次の瞬間なぜか私の体を離したコウさんが私の腕を掴み、そのまま寝室へと移動した。
そして寝室に入るやいなや私を閉めたばかりのドアに押し付け、悔しいぐらいの大人の顔で私を覗き込んでくる。
「誘ったのはお前だろ?」
「……っ…」
「まさか、本当に飲み直すだなんて思ってないよな?」
「えっ……」
返事に困ると、コウさんの手が何の躊躇いもなくブラウスのボタンを上から外していく。
イヤってほど無駄のないその動き。
その仕草にたまらずコウさんの手を掴むと、それを狙ったように今度は熱く唇を塞がれた。