俺の夢
捨て猫
俺は、オス猫。雑種…(多分)。名前は、まだない…ってどこかで言ってたな…。

これでも、昔に人間の生暖かい手で撫でられたことは、何となく覚えている。産まれて2年経ってるから、1年前かな。

気がついたら、デブのオス猫と縄張り争いの末…負けて、この有り様だ。我ながら情けない…。
実を言うと…メチャメチャ腹が減ってる…。人間に言ったって、多分腹を蹴られて終わるんだろうな…。前に、腹が減って…人間に擦り寄ったとき、思いっきり腹を蹴られた。あれは今でもトラウマだ…。はぁ…。今日は何も食い物にありつけないで終わるのか…。俺は、草むらの中に入り、静かに目を閉じた。チュンチュン…
…俺は、小鳥の声で目を開けた。
ん?ここはどこだ!?何かの布の上にいるみたいだが…。慌てて体を起こすとズキリと、脇腹に痛みが走った。
…そうか、あのデブにやられたのか…。

すると、どこからか人間の足音が聞こえてきた。
「おはよー。傷はどう?」
短髪で細身のこの人間は、俺をジッと見つめて、こう言った。
さっきも言ったが、俺は1年前、人間のすみかにいた。だからか、人間の言っていることが少しだが、理解ができる。
『あぁ…、少しはいいよ。』
俺はそう返した。もちろんのことだが、猫語だ。にゃーと人間に聞こえるやつだ。すると、一瞬こいつの顔が強張った。でも、すぐに優しそうな笑顔に戻った。
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