下町退魔師の日常
☆  ☆  ☆



 次の日の朝8時。
 いつもなら、起きるのは9時過ぎなんだけど。
 ・・・なんか、目が覚めた。


「・・・・・・」


 恐る恐る階段を降りて、休憩室のソファを覗く。
 が、久遠くんの姿はなかった。
 昨日渡した毛布も、アメリカンコーヒーも、そのままで。
 ・・・うそ。
 センサー、鳴らなかったよ?
 もしかして、この町の誰かを襲いに?
 そこまで思って、あたしは大事なことを忘れていたのに気が付いた。
 ナイフ!
 番台の引き出しに仕舞うのを、久遠くんは見ていた筈。
 ――何てこと。
 こんな大事なことを忘れるなんて、もー、詰めが甘いのよ、あたしってば!
 あたしは慌てて番台の引き出しを開けた。
 ・・・ある。
 ナイフ、ちゃんとある。
 持って行ったんじゃないんだ・・・。
 ほっと胸をなで下ろして息を吐いた時、引き戸が開いた。
 振り向くと。


「久遠くん!」


 昨日の格好そのままで、久遠くんが店に入って来た。
 その後ろから、サスケが。


「・・・あれ?」


 おかしいな。
 目の前で人が通ってるのに、センサー鳴らなかった。
 試しに、自分で店の外に出てみる。
 けど、やっぱ鳴らない。


「何してんだ?」


 変な動きをしているあたしを怪訝そうに見つめながら、久遠くんは言った。


「え? あ・・・あはは、何でもない」


 笑って誤魔化しながら、あたしは思う。
 ・・・センサー、一応、後で修理してもらおう。
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