刹那


あたしが一日の大半を此処で過ごすようになったのは、高校一年生の時。




彼氏に浮気されて、別れた日。


それは、自分から告げた。

「別れよう」



アイツは冷たい目を見開きもせずにこう言った。

「あぁ」




不思議と涙が出なかった。
今まで愛していたアイツを、自分から突き放した。





次の日から、ベランダから離れられなくなった。


ただの、通りなのに。
何故か目が離れなかった。
歩く人から、空でさえも。




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