妄想世界に屁理屈を。

「こ、怖かった…」



震えた声で発した。

ハッとそれに気づき、ぶるぶると首をふって――こちらをまじまじと見る。



「…アカネさま、ですよね?」」



「え?や、ちが…」


「アカネさまが男性化したぁあああっ!これじゃあ私、仕えてますとかご奉仕しますとか言ったら下世話になるぅうう」


な、なんなんだこの人!?

“あー、諸事情あって今こいつに入ってる”



アカネが中で喋ったのか、脳裏に響く。



「アカネさま!」



嬉しいらしく、ランランと目を輝かせた少女。


“待たせたねー、スズ”


「いえ…アカネさまのためなら、あっという間でございます。

ご無事なのが何よりです、男性化は否めませんが」


真面目に律儀に答えた。


「スズちゃん?って言うのかな?えとスズちゃんは――」

「おい、スズちゃんなどと呼ぶな下郎が」


声どす黒いんですけど!?



“柚邑、こいつはスズじゃねーんだよー。

こいつは朱雀ってゆー名前だよ”


全然名前違うじゃん!


でもどこかで聞いたことのあるようなないような名前。


“スズ、こいつは柚邑”


「ゆお…変な名です」


「似てんね、反応…」


地味に傷つく。


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