妄想世界に屁理屈を。
カリカリとパンを食べ始める。
はむ、と柔らかい食感に、パン独特の甘味。
自称ハンパーグよりもずっと美味しい。
が。
「……あれ?」
違和感を覚えた。
明らかにいつもと違う、違和感がある。
“どーした?”
「…おかしい。もっと食べたいって思わないんだ
美味しいとは思うのに、もう一口、もう一口って思わない」
「人間がもつべき食欲がないってこと?」
“マジかよっ…”
スズも話に加わってきた。
そう、本当に食欲がないのだ。
気持ち悪いとかそういうのじゃない。
ただ、興味がなくなってる。
美味しいという味覚はあるが、それだけなのだ。
もっと食べたい、もっと味わいたい。
人間にあるべき食欲が、なくなっている。
“ちっ…進んでんな、器化”
「食べなきゃだめだからね。人間なんだから」
「はい…」
スズの言い方はお母さんを連想した。
カリカリと関心なく食べる。
美味しいのになあ、あまり体が欲しないのは、なんだかミサキくんに申し訳ない。