妄想世界に屁理屈を。
「…じゃが。
父を、母を、兄弟を、同郷を――皆に詫びてもらおう」
悲しいくらい冷静に、怒りをぶつけた。
「わしら天狗は、基本は守り神じゃ。
山を守り、山を栄えさせ、美しい高みへと上らせる。
ただ、それだけの存在なのに……
おまえら人間は、見た目がおかしいとか、生態がわからないとか!そんなだけで全てを奪うんだ!」
激昂した。
口調が変わって、幼くなる。
そっちの方が、痛みがダイレクトに伝わってきた。
がんばって天狗ぶって口調を大人っぽくするよりも、素の方がいたいほど伝わってくる。
「……逃げられないように結界まで張って、皆殺しにして
わしだけ残って、どれだけ辛かったか!
味方など誰もいない、毛色の違う山で暮らして…おっ父やおっ母を想って泣いて!
なんど死にたいと思ったか!
貴様などにわかるかっ!わかってたまるかぁああ!」
「…やめろ、宮下」
冷えた声がふりかかり、一瞬静寂に包まれる。
「……それじゃあ、救ったアカネが可哀想だろぉが。
まるでアカネが余計なことをしたみたいな言い方すんじゃねぇ。
このクソヤロォが同郷を滅ぼしたってゆー事に怒ってんだろ。すり替えるんじゃねぇよ」
すかさずアカネ大好きな黒庵さんが宮下さんを戒めた。