妄想世界に屁理屈を。
「まぁ!なにこの子!かんわいいわァアア!」
「え?あっ…」
応龍さんが柚邑に走り寄っていく。
どうやら気に入られちまったらしい。ドンマイ。
「つーか、なんでスズお姫様抱っこしてんだ?誰得だよ」
「あらァ!いいじゃない!女の子な男の子が凛々しくお姫様抱っこ一一萌えるわァ」
くねくね身悶えしながら柚邑に近づき、うっとりとした目で見つめた。
「お名前はァ?」
「なんで俺が男って知って…ゆ、ゆーちゃんです」
「本名よ、本名。本名で呼びたいわ、是非とも」
「ひぃい…」
見た目マッチョな応龍さんに言い寄られて真っ青な柚邑だった(しかも背中に安倍晴明を背負ってる)
「応。若い子に悪戯は画的によろしくない」
「ええー…父上ったら毒舌ゥ」
口を尖らせて、開いた空間へと意識を向けた。
「あー…ごめんねゆーちゃん。遊んであげたいのは山々なのだけどォ、もうそろそろ空間が閉じちゃうから行かなくちゃ。
変なのが向こう行っちゃっても困るし…」
開けたのは異界へ続く空間。
神々のゴミ捨て場へと彼等は向かう。
冥界のような、死刑場のようなそこは一一俺らのようなただの神々が踏み入れたら最後、二度と出られない場所。
「じゃあねェ、ゆーちゃん一一と、愛らしい鳳凰ちゃんたち」
「愛らしくないぞ!苑雛はともかく、わらわは格好いいのじゃ!」
鸞、気に入らなかったらしい。
「ええ〜姪っ子はみぃんな可愛いわよォ」
「我が主は美しいんですよ!訂正してください!」
苑雛が怒ったのにキュンときたらしい、鸞がぎゅうぎゅうと抱きしめた。
ウザそうにそれを尻目に、異界へ続く空間へと入っていく。
「とにかく一一じゃあね。
赤龍のこともあるから、また連絡するわ」
そう言い残して、ふわりと裂けた空間が塞がって元に戻った。
幻みたいな消え方に、一回余韻が残って 。
「…あ、苑雛くん!」
柚邑がそれを破った。