妄想世界に屁理屈を。

恋が叶う神社として、何人が願ったんだろう。

身勝手に、なんの権利もないくせに、ただ単にすがって。

そのせいでさっきの黒い彼女は地位を欲したんだ。


「……じゃあさ」


“ん?”


「アカネは、自分が勝手に造られたのを憎んだりしない?」



俺ら人間が、勝手に願って造った神様という生命。

神様は、人間の思うようにただただ願いを叶える便利屋ではないんだ。


心もあるし、考えもある。


もし俺が神様だったら――


「俺だったら、きっと憎んだ。
なんの罪悪感もなく勝手に造って。勝手に願うだけ願って。

そーゆーの、なんかズルくない?」


今まで勝手に願ってたけど。

とんでもないことをしてたって実感したんだ。


“柚邑はそう思うの?”


アカネの声は、どこか楽しそうだった。


“じゃあさ、どうせしばらく一緒にいさせてもらうんだし――柚邑の目で見てみたら?

私たち神様の生きざまを、さ”


カカカッ、とよくわからない笑い方をした。
< 47 / 631 >

この作品をシェア

pagetop