妄想世界に屁理屈を。
◇◇◇
真っ逆さまに落ちて、むくりと起き上がる。
そして瞠目した。
一一まるで、信太の森のようだと思った。
神々のゴミ捨て場とかいうから、人間が想像した死後の世界、地獄、冥府を掛け合わせたものだと勝手な想像をしていたから、余計に呆気にとられた。
光に満ちた世界。
暖かな日差しが降り注ぎ、どこからか鳥のさえずりが聞こえてくる。
木々に囲まれた空気の豊かな場所。
「これが、ごみ捨て場…?」
「もっとオドロオドロしてるかと思った…」
スズも不思議なようで、あんぐりと口を開け一一
「え?す、スズ?」
細くて朱いポニーテールは、豊かに腰のあたりまで伸びている。
長めのワンピースはミニスカートに。
小さい背丈は成長して一一
「え、なにこれ!?
うそ、なんで大きくなってるの!?」
大きく、なっていた。
ロリっ娘だったスズは立派な女性へと、
「胸は変わんない…」
…な、なっていた。
肉感的ではないものの顔つきもそれなりに大人の女性へと変わっている。
「あ!ゆーちゃんも変わってる!」
「え?」
指を刺されて自分の体を確認すれば、男の体だったのに女へと変わっている。
しかも短かった髪が長くなってるし、それに
「な、な…!
か、返してよわたしの胸ぇええぇええ!!」
「奪ってないって!」
なぜかまたバストサイズが当たっている。
もうそっち系のお仕事の人にしか見えないくらいのサイズに。
あんまり成長してないスズはギャンギャン俺の胸ぐらを掴んできた、なんかごめんなさい。
ていうか、なんで互いに成長しているんだ?
“あー、たぶんそりゃあ異界へ行く際にお父さんがやったんじゃねーの?”
中から突如アカネの声が聞こえた。
アカネはなんの変化もないみたいだ。
“ここには霊力が伝わんないんだってー。
とくにうちらは神々の神だ、邪神一一神を信仰すんのをやめた落ちぶれた神々がうちらを信仰するとは思えねー。
信仰=霊力だろ?
だからここにはうちらが貰えるような霊力がないんだよ”
難しい話だけど、とにかくここでは鳳凰の信仰は得られないみたいだ。