妄想世界に屁理屈を。



宝はすくすく大きくなっていった。



女は人里で織物の仕事をして紛れ、宝と二人で生きていた。

女同様、宝も美しく育っていった。


多少霊力が強めだったが、そんなことを気にせず女は宝を愛した。


女はしきりにシロのことを宝に話した。

あなたは神様が助けてくださったのだ、と。

村のことも包み隠さず話した。

戻る気などないとも伝えていた。



四年ほど経ったある日、宝が急に倒れた。

熱があるわけでもないのに、ずっとうなされていた。

原因不明の病に母親は顔を真っ青にして、遠い医者までも訪ねた。

しかし、ある日急に宝の病状は回復する。

泣いて喜んだ母親をよそに、宝は数日後熱が出した。


なんのことはない。


シロが死んだため、急激に霊力を吸われたのだ。


シロは全権を宝に委ねることにしたらしい。

時間を置いて、全ての霊力が宝に行った。

それに肉体が耐えきれなかっただけだ。

数日経って、馴染んだため熱は下がった。


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