妄想世界に屁理屈を。


にやりと嬉しそうに。


いたずらを思いついた子供のような目で、彼は言った。


「一一神様のゴミ捨て場、これがほしーんだなぁ」

「っ!」


それは、赤龍の管轄ではなく。

驪さまの管轄の話だった。


「ヴァルハラって知ってっか?チビ」

「うん、まあそれくらいなら一一」


通称北欧神話という、主にバイキングが信仰してきた神話がある。


キリスト教に半ば追いやられたそれの最高神は、オーディンという死の神を兼任する神様だった。

来るべき最終決戦(対キリスト)のために死者の国に強者のみあつめたヴァルハラという宮殿を作った。

そこでは生まれや種族関係なく、勇者たちが終わることのない戦いを繰り広げ、己の力を強めていく。

全国の勇者さんあこがれの場所らしい。

まあ血なまぐさいの嫌いだから、よくわかんないけど。前そんなお話を誰かから聞いた。


「あれ、俺さまが統一したらさぁ、積極的にやりてーの。

日本ってさあめっちゃ弱ぇーじゃん?神。俺様くらいしか強いのいねーんだわ、えーと、お前の主の旦那。あいつも強いけどさ、日本のじゃねーし。純日本の俺様が海外のに自ら手を出そうとしたら皆から反対食らったし」


ていうか。

うっかり黒庵様を殺したりしたらインドや中国の神さまを敵に回すし、反対にスサノヲを殺されたら日本での英雄神の体面がない。


マイナスしかないことを提案したんだなぁ。馬鹿ね、ほんと。


天探女の主なんだっけ。これでも。

本人が『あいつになんか仕えたくない』って言ってるのなんかよくわかった。


「でもさー、ゴミ捨て場の管轄は今黒龍なんだろ?行方不明の」


「行方不明じゃない!隠密に仕事をしてらっしゃるの!」


「どっちでもいいけどさぁ、そーゆーのこまんじゃん?おねだりもできねーし」


おねだり?こ、交渉って言いなさいよ。


「そーしたらまー赤龍が来てねえ。『協力して私と一緒に討ち、真の世界を築くのだ!』って!マジしびれる!」


厨二病だっ。

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