妄想世界に屁理屈を。


「ふむ、何から話したものか一一」


顎をなで、目を閉じ。


「青龍は、五つの龍を生んだ。来る政権交代の日に備えて。けれど、もう生んだ時点で心中では最高神は決まっていた」

“お父さん?”

「いや、白龍だ」


名前しか知らない。俺の中では影の薄い神様だった。


「彼女は、時の神だった。つまり時とは、永遠とは、神の象徴だった。それだけで最高神になる素質はあった。火や水や土や風より、神としては一番合っていた」


「……まあ、ギリシャ神話なんかでは、神と人との線引きが永遠の命か否かだもんね。故意的に人を神にすることすら可能だもん。アキレスがそうだっけか」

「そうだ。古代より、人は時を神と考える思考があった。だから、普通は白龍が継ぐべきだったのだ。……しかし、彼女はやってはいけないことをした」

「やってはいけぬこと?なんじゃ」




「一一恋をしたのだ」




「ぶっ」
“ぶはっ!な、なん……”


俺とアカネが吹いた。

なんだそりゃ、思ってたよりかわいい悪事じゃないか。

もっとやばい世界が滅びそうなこととかしたのかと思った。


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