わきみち喫茶
ここは脇道の喫茶店

仕事帰り、なぜだかまっすぐ家に帰る気になれなくて、薄暗くなった道を目的もなくひたすら歩く。

ふと、足が止まった…見つめる先には、見知らぬ脇道。
気がつくと、足が自然と踏み出していた。

一足先に夜が訪れたようなほの暗い道を、足の進むままに任せて歩く。
突き当りに現れたのは、優しい灯りが灯る小さな喫茶店だった。


「ようこそ、いらっしゃいました」


扉を開けると、かすかな鈴の音とともに柔らかい声が聞こえてくる。
ほんのりと明るい光に照らされた店内は、古い中にもどこか新しい匂いも混じっていて何とも不思議な空間だった。

よく見ると、カウンターの真ん中あたりに一人の女性が立っている。
従業員だろうか。


「どうぞ、お好きなお席に座ってください」


女性の笑顔に促されるように、自分の他には誰もいない店内をゆっくりと進みカウンターの端の方に腰掛けた。
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