わきみち喫茶


「はい、少々お待ちください」


にっこり笑ってペコッと頭を下げると、その女性は奥にあるカーテンをくぐって見えなくなった。

てっきり休憩室か事務室にでもつながっているんだろうと思っていたが、カチャカチャと食器の鳴る音や、沸騰を知らせるやかんの音が聞こえることから察するにそこが厨房なのだろう。

耳を澄ますと、かすかに楽しげな笑い声や話し声も聞こえる。
なるほど、マスターは厨房にいたというわけか。


「お待たせいたしました」


いつの間にか、白いティーポットとカップの乗ったお盆を持った女性が目の前に立っていた。


「こちら、マスターオリジナルになります。
でもちょっと待ってくださいね、これは少し蒸らすのがコツなんです」


にっこり笑ってポットの蓋を開け中を覗き込むと、満足そうに頷いてまた蓋を閉じる。


「あの…」
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