召しませヒメの甘い蜜
「そっか、じゃ、方針転換だな」
「そうね、桜さん、よろしくお願いします」
何故かそれ以上諍いが続く様子もなく、お互いを見つめて頷きあった二人。
「方針転換? 何の話だ」
全く状況が飲み込めない神野は一人苛立った。
「シェフは関係ない。こっちの話だ」
いかにも不機嫌そうに神野を睨みつける南野。
その彼女を戒めたのは、姫野だった。
「桜さん、教えを請う相手にその態度はいただけませんよ」
「へいへ〜い」
「申し訳ありません、神野シェフ。南野さんに悪気は無いんですのよ。
ただ少しだけ自由奔放というか……
兎に角、シェフにご迷惑はおかけしません。
わたくし、ちゃんと今日の講習を習得してみせますから」
まるで、子供の無作法を詫びる母のように、南野は神野に向かって丁寧に頭を下げた。