しばらく待ってみたもののバトルは解決しそうにない…みかねて仁志は再び話を切り出した。
「とにかく、さっきまでは大嫌いだったババァですが、こういう争いも含めてババァの事が必要なんです。ご心配される気持ちは分かりますが、もう大人ですし…」
父親は鼻で笑うと、
「心配なんかしていない。敢えて心配しているとするなら、うちの名前に傷がつく。ただそれだけだ」
「名前の事しか気にならない…かぁ…」
佐藤がボソッと呟いた。
あのアパートの住人は何だかんだで家族から見放されてきた人ばかりだ。ババァが言われている言葉はまるで自分に言われているようで正直凹む…
< 29 / 32 >

この作品をシェア

pagetop