こちら元町診療所
久しぶりにここまでの貧血起こしたかもしれないな……


軽い貧血は日常にはほんとによくある。


ご飯を食べない私が悪いんだけどね…



私の手首で脈を図る為に置かれた手がひんやりとしていて思わず目を瞑る


いつもなら不真面目なこと言って私を怒らせるのに、隣の部屋から聞こえるプリンタの音しか今は聞こえない


『ちょっとここで寝て。俺まだいるから。』


手首から離れた手が私の髪を優しく撫でると、小さく頷きそのまま少しだけ眠ろうと思った。



さっきとは違う柔らかい話し方に、少しだけ安心する


『(いつもこれくらい素直ならいいのに)』



きっと一時間は印刷するのにかかるだろう


少しだけ……


終わったら閉まってすぐ戸締まりしよう。

そう思い私は意識を手放した。

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