こちら元町診療所
抵抗すればいいのに、悔しくてどうしようもなくて瞳から涙が溢れる


「私、先生に何か悪いことしました?」


ここまで嫌がらせをされているのは、私への恨み?


昨日の歓迎会で、他の人にはニコニコと楽しそうに笑うのに、私には嘘臭い笑顔ばっかり


『悪いこと……か。』


「したなら謝ります。だからもうからかわないで……」



ほんとは大分前から分かってる

自分がコイツに対する感情が他の人とは違うって


でもよく分からないから押し込めて今まで隠してきたのに…


『何で泣く?』


「何でって……」


そっと顎に手を置かれて上を向かされ、私の頬に伝う涙を綺麗な指が拭っていく


その先にあるのは意地悪な顔じゃなくて泣きそうな顔


いつもみたいに悔しいくらい笑えばいい。からかえばいいのに……


こんなときだけずるい……



『初めて会ったときも泣いてたっけ』

< 57 / 241 >

この作品をシェア

pagetop