ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
「そう、あっちだ。ちょうど辻褄が合うと思うんだよね……」

「はあ」


もう、早く言ってよ、課長!


「もしその噂が本当なら、かなり辛い話なんだよなあ、これが……」

「辛いんですか? 誰にとってですか?」

「そりゃあ、もちろん新藤さんにとってさ」

「そんなに辛い話なんですか?」

「うん。私も他人事じゃないんでね、身につまされるというかね……」


どんな話なんだろう。課長にとっても他人事じゃないって、どういう事?
なんだか聞くのが怖くなってきちゃった。でも、聞きたいけどね。


「あくまで噂だけどね、彼には奥さんと小さなお子さんがいてだね……」

「はい」

その事は知ってるもんね。と言っても、今朝知ったばかりだけど。


「おや? 驚かないのかい?」

「え、ええ。奥さんやお子さんがいても別に不思議はないですから」

「そうか。それは意外だったな。てっきり君は驚くと思ったんだが」


えっ? それって、もしかして私が新藤さんを好きだって事、課長にばれてる?


「な、なんでですか? それより話を続けてください」


課長からその事を追求されても困るので、私は話の先を促した。

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