シュガーベイビー
「ねぇ、恵ちゃん」

「なぁに」

放課後、家庭科室。

三年の先輩たちは7時限目に学年集会があったのでまだ来ていない。

「桜野先輩のどういうとこが好きなの?」

不思議そうな顔をして尋ねてきた水樹ちゃんに、わたしは首を傾げた。

「なんで?」

「えーだって、恵ちゃん、いっつも可愛いしか言わないから、それ以外どこが好きなのかなぁって」

桜野くんのどこが好き?

わたしはうーんと唸って上を向いた。

ふわふわしてて砂糖菓子みたいに甘い笑顔。

すぐ真っ赤になるとこ。

さりげなく料理のアドバイスしてくれるとこ。

案外ドジっ子なとこ。

全部全部……

「可愛いとこ?」

「ほらー、やっぱそれしかないんじゃない」

まわりの皆がおかしそうに笑う。

わたしもつられて、笑ってしまった。

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