愛させろよ。
先輩は俺の右側に立ち、グラウンドを見つめて言った。

「私のソロ、どうだった」

「いやもう、すごくよかったです」

「そう」

「教科書の桐谷蘭さんと、同じ顔してましたよ」

「えっ……」

先輩は信じられないという顔で俺を見た。

「嘘でしょ」

「本当です」

風が先輩の髪を揺らした。

左手で押さえながら、先輩は言った。

「どうして、似ちゃうんだろう」
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