愛させろよ。
待ってて、と言っていたが、俺が校門に着いたときにはもう先輩がいた。

「すみません、待たせちゃって」

「ううん、待ってない」

俺と先輩は、並んで歩き出した。

少しの沈黙の後、先輩は口を開いた。

「今日はありがとう。……覚えててくれたの?」

「はい。まさか本当に代わりをやることになるとは思ってませんでしたけど」

「ねえ相原、私……」

「はい?」

「……ううん」

首を振った先輩の横顔は、陶器のように白く硬かった。
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