愛させろよ。
先輩にお父さんがいないという事実を、俺は初めて知った。

顧問はため息をつき、俺を見た。

「お前、蘭さんがどこにいるか知ってたりしないか」

「いや、それは」

「そうだよな、知ってるわけないよな……」

先輩はまたゆるゆると目を閉じた。

こんなときでも、先輩の右目は美しい髪でしっかりと隠されていた。
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