愛させろよ。
その声を聞いて、俺は突然わかった。

彼女が、誰なのか。

「桐谷蘭さん、ですよね」

俺の声は、自分のものと思えないほど小さく固かった。

「そうよ。なんで知ってるのかしら」

「蘭さんこそ、なんで」

「久しぶりに家に帰ったら、藍が血相変えて電話してるのが聞こえたの」

「はあ……」

俺はすっかり彼女に気圧されていた。
< 329 / 438 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop