愛させろよ。
「あのね、わたしは小さい頃からずっとピアノを習ってたの。

音楽高校のピアノ科に進み、本気でピアニストを目指してた。

自慢じゃないけどコンクールに入賞したりもしてて、わりといい線いってたのよ。

クラリネットもその頃からやってたけど、お遊びみたいなものだったわ。

でもね……」

蘭さんはそこで自分の指を眺め、小さく微笑んだ。

黒い瞳が、一瞬揺れた。

「高二の春に、怪我したの」
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