二人は甘い初恋関係
ったく、さっきから小春川を見てばかりじゃねぇか。


そんなにジロジロ見るなよ。


千景の視線に、居てもたってもいられなくなった俺。


思わず、小春川を隠すようにして立った。


「千景、そんなにジロジロと小春川のこと見てんじゃねぇよ。小春川、戸惑ってるだろうが。」


実際、小春川の表情は少し強張っていて、戸惑ってるように見えた。


だけど、理由は…それだけじゃない。


千景が小春川のことを興味ありげに見てるのが、不愉快でたまらなかったからだ。


正直、後者の気持ちの方が大きい。


これ以上、千景と関わらせたくねぇ。


そう感じた俺は、小春川と一緒に教室へと向かおうとしたけれど、千景に呼び止められた。


小春川に対する態度が、今までの女に対するものとは違うことを指摘する千景。


真意を聞きたそうな目で詰め寄るアイツに、俺は“友達だから”と答えた。


本当は……“好きだから”って言いたかった。

   
だけど、小春川の前で、その言葉を口にする勇気が無かったんだ…。


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