二人は甘い初恋関係
切れ長の二重の目。


スッと通った鼻筋。


艶やかな黒髪の短髪は、無造作にセットされている。


この人、すごく整った顔立ちしてる…。


……っていうか、距離が近いっ!!


私は、即座にお尻を引き摺って、男の子から少し離れた。


「あっ、えっと………大丈夫です。」


視線を逸らして小声で主張する。


「本当に?かなり勢いよく転んだみたいだったけど……。」


「だ、大丈夫ですので…気にしないで下さいっ…。」


呟くように口にした私は、散らばってしまった教材を慌ててバッグに戻していく。


男の子の方は見ずに黙々と。


全てバッグに入れ終えると、急いで立ち上がった。


「…失礼します。」


軽く頭を下げた後、脇目もふらずに逃げるようにして、その場から立ち去った私。


学校を出た途端、ため息が漏れてしまった。


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