二人は甘い初恋関係
驚いて振り向くと、息を切らして立っている水城君の姿が目に映る。
水城君、帰ってなかったの…?
戸惑っていると、水城君の胸の中に引き寄せられてしまった。
「あのさ、小春川は…俺のだから、勝手に声掛けたりしないで欲しいんだけど。」
村澤君に向けられた言葉。
とても低い声にビクリと肩が跳ねてしまう。
「アンタって…1組の水城!?えっ、小春川さんと付き合ってんの!?」
「だったら、何?」
「あ、いや…そうとは知らずに、悪かったな…。じゃあ、俺…帰るよ。」
気まずそうに頭をクシャクシャと掻く村澤君。
私と水城君の横を通って、教室から出た村澤君はこちらに視線を向けた。
「小春川さんも、突然…ごめんね。」
「えっ、あの…話って……」
「もう、いいんだ。話…聞くまでもないっていうか、水城が相手じゃ適わないし…。」
「……?」
ど、どういう意味なんだろう…。
なんの話だったのかな…。
スタスタと足早に帰って行く村澤君の後ろ姿を見ながら疑問符を浮かべた。