鬼部長の優しい手


「…山本くん、なんか幸せそう。
これは黛実となにかあったね?」



いつもと様子が違う俺達に気づいた
七瀬ちゃんが、コピーの作業を止め、
こっちに近づき、そう言ってきた。



「…なんか進展があったの?」


「あ、わかった?」




七瀬ちゃんは黛実ちゃんに聞こえないように小さな声で、俺の耳元で囁いた。




…うん、なかなかいい手応えだね。
鈍感な七瀬ちゃんにも、俺と黛実ちゃんに何かあったってわかるんなら順調。

この調子で、
まずは周りに知らしめなきゃ。
黛実ちゃんを見て、鼻の下伸ばしてる
男共に。
黛実ちゃんを見て、にやにやしてる
エロ上司共に。



“残念でした!
黛実ちゃんはもう俺のなんです。”

って、

もう悪い虫がつかないようにね。




「あ、山本くんにやついてる!
なになに?なにがあったのー?
教えてよー!」



くだらない計画をたてているとき、
無意識のうちに俺の顔は、にやついてたのか、七瀬ちゃんが楽しそうに
そう言ってきた。



「んー、ちょっとね。」




七瀬ちゃんにも、昨日の黛実ちゃんのことは言ってやんない。



あんなに可愛い黛実ちゃんは、
俺だけで独り占めしたいの。






「ちょっと、さっきからなに二人で
こそこそ話してんのよ?」



ひそひそと話す七瀬ちゃんと、俺を見て、パソコンに向かっていた黛実ちゃんは
しびれを切らしてイライラした様子で
そう言ってきた。





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