鬼部長の優しい手

コポコポ…ッ







なんというか、すごく部長らしい
黒でまとめられた広い部屋に
コップに水を注ぐ音が響く。



躊躇しながらも、踏み入れた部長の家は
殺風景で家具も必要最低限しかなく、
どことなく、すごく寂しい感じがした。







…どうしよう。
来ちゃった、部長の自宅…っ!
部長の家…!



流れと勢いで来ちゃったけど…



うーん、と冷蔵庫から取り出した水をコップにを注ぎながら考える。

今更、自分がしていることに
驚き何故か一気に顔に熱が集中する




なんか、急に恥ずかしくなってきた…
と、とりあえず、部長に水を…




と、隣の寝室に寝かせておいた部長の
もとへつま先を向けた。






「部長…?


水、入れたんですけど飲めますか…って
聞こえないか…」




寝室のドアをそーっと開けて
ベッドに寝かせておいた部長を
のぞきこむ。

すると、部長は子供のように
ぐっすりと眠っていた。




仕方ない…。



ベッドの横のサイドテーブルに
部長を起こさないよう、静かに
水をおいた。







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